結婚ビザ(F-6)から永住権(F-5-2)申請の手順と必要書類について

結婚ビザ(F-6)から永住権(F-5-2)申請の手順と必要書類について

最近、韓国の永住権申請が厳しくなったと言われています。永住権を申請したくても、手続きが複雑でハードルが高いと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、これから申請を考えている皆さんに永住権申請の手続きと必要書類についてまとめてみました。

筆者の体験を交えながら、できるだけ分かりやすいように説明したつもりです。すこしでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

永住権申請ができる対象者

F-5-2の永住権申請には、申請できる条件があります。

対象:結婚ビザ(F-6)を所持しており、国内に2年以上在留している韓国人の配偶者

婚姻状態を維持している場合はもちろん、結婚ビザを所持している以下の場合でも永住権申請が可能です。

・韓国人配偶者が死亡または裁判所で失踪宣告を受けている

・韓国人配偶者と離婚・別居中で韓国人配偶者に帰責事由があると証明できる

・韓国人配偶者と離婚・別居状態で未成年の子どもを養育している

ビザとパスポートの期限は事前にチェック

永住権申請時のビザとパスポートの有効期限の残りが以下のように決まっています。

・結婚ビザの有効期限が6ヶ月以上

・パスポートの有効期限が十分に残っていること

永住権審査は場合によっては半年ほどかかることもあるそうです。ビザやパスポートが申請中に無効にならないよう、有効期間の残りを確認してから手続きに臨みましょう。

永住権申請までのフローチャート

受講に時間がかかる社会統合プログラムを受講するのが最初です。プログラム履修後に、総合試験を受験。試験にパスしたら早めに犯罪経歴証明書の手続きをしましょう。

犯罪経歴証明書が発行されるまで2ヶ月ほどかかるので、その間に必要な各種証明書を集めておくのがよさそうです。

社会統合プログラムと総合評価

①社会統合プログラムとは?

社会統合プログラムとは韓国語や韓国文化を学ぶ無料プログラムのこと。

在韓外国人が韓国社会に馴染めるように支援する意味もあり、永住権取得や韓国帰化を目指すなら必ず受けなければなりません。

社会統合プログラムの0段階〜4段階では韓国語と韓国文化について学びます。5段階になると韓国語の授業よりも韓国の歴史文化、韓国社会の構造や法律、政治などの学習が中心です。

出席率など規定の条件をクリアし、5段階「基本」の授業が終わると社会統合プログラム履修証(사회통합프로그램 이수증)が付与されます。

永住用総合評価試験は60点以上取れば合格。永住用総合評価合格証(KIPRAT)がオンライン発行されます。これが永住権申請で韓国語の基本能力を証明する必要書類になるというわけです。

各段階の目安時間、レベル等は以下のとおりです。

参考:2020年度 社会統合プログラム教育及び評価案内パンフレット(한국이민재단)

気をつけたいのが、永住用総合評価で合格しなければ永住権の申請ができないこと。社会統合プログラムの受講、履修証だけでは永住権の申請が認められないのでご注意くださいね。

②事前評価と社会統合プログラムの申し込み

社会統合プログラム受講前に「事前評価(사전평가)」と呼ばれるテストを受けなければなりません。事前評価の成績により、0〜5段階からレベルに合ったクラスに配置されます。

なお結婚ビザの保持者の場合、韓国語が理解できるとみなされるため事前評価を受けずに2段階からのスタートが可能です。(結婚事由の証明書が必要)

・事前評価: 年10回・試験内容:筆記試験(選択+記述)、口述試験・申込方法: 韓国移民財団 KIIP評価申請 からオンライン申請(※要ログイン)・受験料:38,000ウォン (クレジットカード、口座振替が可能)

現在コロナ禍により試験スケジュールがひんぱんに変更・中止になっています。以下の2つのサイトの会員登録をして最新の情報を収集してみましょう。

・ 社会統合情報網(Soci-Net) ​​

・ 韓国移民財団KIIP評価案内 

事前評価の結果により、各レベルのプログラム申し込みが可能です。申込期間内に忘れずに授業の申請をしてくださいね。

③条件を満たせば5段階から受講可能!

結婚ビザがあれば、社会統合プログラム2段階から受講可能なことは前項でお伝えしました。しかし2段階からプログラムを受けても、5段階までちょっと時間がかかりますよね。

そこでおすすめなのが、5段階から社会統合プログラムを受講することです。

【5段階から社会統合プログラムを受けるための条件】・TOPIK(韓国語能力試験)連携を使う:TOPIK4級以上が対象・事前評価で81点以上を取る

TOPIK連携については社会統合情報網にログイン後、”사회통합프로그램”にカーソル→ ”단계배정”のページをクリックすると詳しいマニュアルがありますのでご確認ください。

なお事前評価が85点以上であれば、5段階「基本」の授業を受けずに総合評価の受験資格が与えられます。時短で永住権申請をしたい場合、目指してみるのもよいかもしれません。

【筆者の感想】

筆者個人の感想なんですが、総合評価に出題されていた問題は授業で「ここが大事」といわれたところが多かったです。もし事前評価が85点以上でも、5段階「基本」の授業を受けてみても損はないと感じました。

④授業受講後に永住用総合評価(KIPRAT)を受ける

5段階の受講が終わったら永住用総合評価の申込みをします。事前評価と同じようにオンライン申請が可能です。

・総合評価: 年10回・試験内容:筆記試験(選択+記述)、口述試験・申込方法: 韓国移民財団 KIIP評価申請 からオンライン申請(※要ログイン)・受験料:38,000ウォン (クレジットカード、口座振替が可能)

総合評価は60点以上が合格ライン。

社会統合プログラム履修証と永住用総合評価合格証(KIPRAT)は韓国移民財団KIIPからダウンロード印刷ができます。なお履修証と合格証は2年間有効です。

必要書類を集める

①提出書類の内容について外国人総合センターに問い合わせる

書類を集める段階になったら、まずは法務部「外国人総合案内センター (1345)」に電話で問い合わせてみてください。

筆者の場合、永住権に必要な書類について知りたいと伝えたところ、「メールアドレス宛に書類を送ります」といわれて必要書類の一覧表と永住権申請書を送付してもらえました。

[外国人総合案内センター]・韓国内どこからでも1345 → 「相談員に接続」 0*を押す →「 日本語ダイヤル 」6* ・日本語対応時間:9時〜18時(18時〜22時は韓国語・英語・中国語対応のみ)

②永住権申請に必要な書類一覧

【社会統合プログラム履修証と永住用総合評価(KIPRAT)合格証】

韓国語の基本的能力を証明する書類です。社会統合プログラムと永住用総合評価(KIPRAT)を履修していれば、いつでもダウンロード可能。詳しくは前項の社会統合プログラムと総合評価を御覧ください。

【犯罪経歴証明書とアポスティーユ】

韓国以外の国で犯罪経歴がないか確かめるのが「犯罪経歴証明書」です。「警察証明書」とも呼ばれています。

犯罪経歴証明書と同時に「アポスティーユ申請書」の書類記入を求められるので、その場で記入して提出すればOKです。

申請書の記入後に両手の指にインクをつけて指紋を捺印採取します。指紋採取に1時間ほどかかるため、時間の余裕を持って臨んでください。

日本以外の国に留学や駐在など6ヶ月以上滞在した経験のある方は、その国の犯罪経歴証明書を提出しなければならない場合があります。必ず外国人総合案内センターに問い合わせしましょう。

■犯罪経歴証明書に必要なもの

・有効期限が3ヶ月以上のパスポート

・申請書:大使館・領事館内においてあります

・韓国内の現住所の英文表記

■犯罪経歴証明書の申請ができる日時

・ソウル在韓日本大使館:毎週火曜・木曜日 午後14:00〜16:00

・在釜山日本領事館:予約制(領事部旅券・証明係 TEL 051-465-5101〜3)

・在済州日本領事館:午前9:15〜11:30、午後13:30〜16:00

■犯罪経歴証明書の受け取り

犯罪経歴証明書は完成まで2ヶ月ほどかかります。証明書の準備ができると、電話かメッセージで連絡が来るので窓口時間内に取りに行きましょう。

その際は指紋捺印後にもらう「警察証明書の受領」を持参するのをお忘れなく。窓口が混んでいなければ待ち時間なく受け取れますよ。

【注意】

永住権申請のための犯罪経歴証明書は、発行日が永住権申請日から3ヶ月以内のものが有効です。

犯罪経歴証明書の発行日は申請日周辺になるので、受け取り時には2ヶ月ほど経過していることになります。受け取ったらすぐにHi Koreaで永住権申請予約を取りましょう。

また犯罪経歴証明書は開封すると無効になるので注意してください。

【収入と財産を証明する書類】

永住権申請には所得審査基準があります。以下の条件のうちどちらかが当てはまらないと認められません。

1.永住権申請者本人または生計を共にする家族の収入を合算した金額が、昨年度の韓国国民一人あたりの国民総所得(GNI)以上であること

(2020年の国民総所得:3,762万1,000ウォン)

2.家計資産が中水準以上に該当すると認められる場合(2020年度:2億5,795万ウォン)

必要書類一覧

この他場合により必要な書類:通帳のコピー、月給明細書、健康保険資格得失確認書など 

職業によって追加書類の提出が必要な場合があります。外国人総合案内センターやお近くの出入国管理事務所にお問い合わせください。

【居住地立証書類】

どこに住んでいるのか立証する書類です。

例:賃貸仮契約書(임대차계약서)、宿泊施設提供書(숙소제공 확인서)、不動産登記簿(부동산 등기부)など

【基本書類】

・申請書(外国人相談センターから送られてきた書類一覧に含まれています)

・パスポート

・外国人登録証

・手数料23万ウォン(現金で用意:申請費用20万ウォン+カード発行料3万ウォン)

・6ヶ月以内に撮影したパスポート用写真(3.5cm×4.5cm)1枚

・婚姻関係証明書(詳細):혼인관계증명서(상세)→ お近くの住民センターで取得

Hi Korea予約と出入国管理局へ申請

犯罪経歴証明書を受け取ったらすぐにHi Koreaで訪問予約をしましょう。

Hi Korea訪問予約

予約日になったら、すべての書類を準備して永住権の申請をします。手数料の23万ウォンは現金で用意しておくと便利。20万ウォンで収入印紙を購入し、残り3万ウォンは新しい外国人登録証発行料として収めることになります。

手続きおつかれさまでした。

まとめ

結婚ビザから永住権申請切り替えののため手続きについて解説しました。

筆者の場合ですが、社会統合プログラムを2019年8月に5段階から開始、10月の永住用総合評価にて合格している状態でした。

そのため永住権申請は書類集めからスタート。3月に開始し6月に永住権申請を終えるという急ピッチで進めました。現在は永住権審査中なので内心ドキドキです。

体験してみて思ったのは、『社会統合プログラムさえ終えてしまえば書類集めはなんとかなる』ということ。社会統合プログラムの受講者は年々増加傾向なので、永住権取得を目指す方は早めの受講をおすすめします。

またこの記事は、2021年6月時点での永住権申請の情報をまとめたものです。今後法改正などにより、必要書類や手順が変更になるかもしれません。

永住権申請時には必ず外国人総合センター(1345)に問い合わせをして、最新の情報を得るようにしてくださいね。